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「実弾1発1万円」山口組分裂で高騰する拳銃と実弾の価格…抗争への備えか

 「拳銃の値段が急激に上がっている」

 国内最大の指定暴力団山口組(神戸市、6代目組長、篠田建市=通称・司忍)が平成27年8月に分裂、離脱グループが結成した指定暴力団神戸山口組(兵庫県淡路市、組長・井上邦雄)との間で対立抗争事件が頻発し出したころ、闇ルートでの拳銃の密売価格について暴力団幹部が証言した。

■抗争への備え、高騰する拳銃の価格

 暴力団幹部の証言が続く。「昨年夏の分裂前は拳銃の取引価格は20万~30万円だった。しかし、分裂以降は70万~80万円が相場となっている。実弾は1発1万円だ」と水面下の取り引きについて説明する。別の暴力団幹部は「弾を多めに付けて3桁(100万円)で売れることもある」と明かす。

 いずれも、対立抗争に備えて、「6代目山口組側も神戸山口組側も拳銃を集めている。分裂から急激に拳銃の需要が高まっているため、値段が上昇するのは当然のこと」と打ち明ける。

 警察庁幹部も、「拳銃の価格が値上がりしているとの情報は把握しており、懸念している」との認識を示している。

■発砲は長期の懲役

 拳銃の値段が高騰するのは、血塗られた歴史の記憶があるからだ。

 山口組にはかつて4代目組長の跡目を巡る内部分裂で独立した一和会との間で、史上最悪の抗争事件とされる「山一抗争」(昭和60~62年)を引き起こした歴史がある。昭和60年1月に竹中正久・4代目組長が射殺されたのをはじめ、計25人が死亡、巻き添えとなった一般市民も含め数十人が負傷した。

 山一抗争では、拳銃発砲や事務所への車両突入など317回の事件が繰り返された。このうち、銃器発砲事件の割合は約84%を占めた。

 警察庁幹部は「当時も、組事務所などへダンプをバックで突入させて、運転していた者がダンプを現場に放置して逃げ去るという事件もあったが、やはり拳銃の使用が圧倒的に多かったようだ」と話す。

 山口組神戸山口組の対立抗争でも拳銃の発砲事件が相次いでいるが、警察庁幹部は「山一抗争のころと比べると罪が格段に重くなっているので、厳罰化された銃刀法は抑止力になっている」と指摘する。

 暴力団の対立抗争事件などで拳銃を使用した事件が相次いだため、銃刀法は発射罪や加重所持罪など罰則が追加、強化された。現状では対立抗争の相手方の事務所などに拳銃を発射しただけで10年近くの懲役に相当する罪となっており、「割に合わない」(暴力団幹部)という。

 ましてや、組織犯罪処罰法の組織殺人罪など、組のトップの罪を問う法律が整備されたいまとなっては、末端組員どころか、組長ですら割に合わない懲役に入ることになりかねない。

 だが、暴力団幹部は不気味な分析を口にしてはばからない。「それでも拳銃を持ち出しやるような跳ねっ返りはいる」と。

■隠匿される拳銃

 拳銃発砲による他律抗争事件が危惧されるなか、警察当局による拳銃の押収は低調だ。

 平成27年の1年間で全国の警察が押収した拳銃は383丁(前年比23丁減)となった。このうち暴力団からの押収は警察庁が統計を取り始めた昭和42年以降、過去最少の63丁(同41丁減)で、39・4%の大幅な減少となった。

 同年の発砲事件は8件(同24件減)で、全てが暴力団が関与した事件だった。発砲事件による死傷者は4人(同6人減)だったが、全て暴力団構成員などだった。

 取り締まり強化の前には関係先に拳銃などを隠していた暴力団だが、事情を知らない一般人などに預からせる手法も健在だ。

 「預かった荷物のなかを開けたら、拳銃が出てきた」。暴力団関係者と付き合いのあるという飲食手男性は絶対匿名を条件にこう明かす。暴力団関係者からバッグを預かった際、重さを不審に思って開けると、拳銃などが出てきたという。

 捜査関係者によると、警視庁は毎週のように拳銃の情報を得ては、関係先に家宅捜索をしている。だが、拳銃は出ない。捜査関係者は「まるで暴力団内部の内通者を探るかのような、不審な情報もある」と話す。

 警察庁幹部は、「暴力団が拳銃を巧妙に隠匿していることが伺える。暴力団が管理する拳銃の摘発を強化する」としており、警察と暴力団の攻防が続く。

  

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