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カード詐欺被害者が有罪に 不正譲渡認定、専門家も疑問

 詐欺の被害にあった滋賀県の男性が、一転して犯罪者として取り調べられ、このほど有罪判決を受けた。だまし取られたキャッシュカードが特殊詐欺に使われた結果、銀行口座を不正に譲り渡すことなどを禁じた犯罪収益移転防止法に違反したとされたためだ。専門家は、同様のケースは他にもあるとみており、詐欺グループに利用されただけの被害者を処罰することに疑問を投げかけている。

 昨年2月、家族の病気などで生活費に困っていた50代男性のスマートフォンに、融資の宣伝メールが届いた。男性が記載された連絡先に電話すると、電話口の女は「10万円融資できる」と持ち掛けた。

 女は、融資も返済も男性の銀行口座で行うので、返済金を引き出すために男性のキャッシュカードを送るよう求めた。男性は「この方法なら振込手数料がかからず、客の負担が少ないとの話には説得力があった」と振り返る。

 カードは返済が終わったら返送すると言われた。男性は東京都内の住所にカードを郵送し、暗証番号も伝えた。だが融資金は振り込まれず、相手とは連絡がつかなくなった。

 警察に相談すると、口座は特殊詐欺に使われていたことが分かった。カードをだまし取られたと訴えたが、捜査員に「被害者はあなたではない」と一蹴され、被疑者として取り調べを受けた。結局、犯罪収益移転防止法違反の罪で略式起訴され、罰金30万円の略式命令を受けた。不服を申し立て、正式な裁判で争ったが、有罪は変わらず罰金20万円とされた。

 同法は正当な理由がないのに有償でキャッシュカードなどを譲渡することを禁じている。特殊詐欺などに悪用されると知りながら、現金欲しさに自分名義の銀行口座を犯罪者集団に売り渡したとして逮捕される例は、京滋を含め全国で相次いでいる。

 今回のケースは違う。判決は、融資を受けるために使うと誤信してカードを送った、と男性がだまされたことを認定した。それでも有罪としたのは、男性がカードを送る際に融資の約束があったことをとらえ、「有償で」不正にカードを譲り渡したと判断したからだ。

 男性は「だまされたことは認めつつ罰金という判決は、どう悪いことをしたのか分かりにくい」と割り切れない思いを抱き、控訴した。

 同法に詳しい白鷗大の村岡啓一教授(刑事法)によると、同様の判決は他にもあり、略式命令で罰金を納付して終わる例も多いとみられるという。村岡教授は「一般市民を形式的に処罰しても、主犯格や詐欺グループの中枢には近づけない。経済的に弱い立場の人間がカードをだまし取られている実態を見ると、処罰は行き過ぎだ」と指摘する。

  

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