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対立する山口組傘下組織を足止め 神戸山口組「中央高速大封鎖」の一部始終

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 4時間にわたり封鎖された公道。飛び交う男たちの怒号。震え上がる一般車。その朝、日本の交通の要・中央高速は完全に極道に占拠された。抗争の「最前線」長野で起きた衝撃事件の全容を明かす。

まるでパニック映画

 「最初は事故かと思ったんですが、だんだんと事情がわかってくるにつれて、そうではないことに気づきました。高速道路上に黒塗りのクルマと銀色のスポーツカータイプの2台が止まり、その周りを10台以上のパトカーが囲んでいる。クルマの周りでは、『いかにも』な風体の男たちと、警察官の怒号。そして、彼らを取り囲む、10名以上の重装備警官隊。

 渋滞の後方の人はおそらく、長過ぎる足止めに文句を言っていたでしょう。でも先頭付近の人たちは、肝を冷やしっぱなしだったと思います。ヤクザ映画さながら、いや、それ以上の迫力でしたからね」(事件があった中央道を管理する中日本高速道路関係者)

 1月27日、神戸山口組系「四代目山健組」傘下、「三代目竹内組」の構成員ら4名が、長野県南箕輪村の中央自動車道上り2車線にクルマを停車。公道を封鎖したとして、威力業務妨害で現行犯逮捕された。

 約4時間にわたり交通を完全に麻痺させ、大渋滞をひき起こした前代未聞の封鎖事件。竹内組の組員たちはなぜ、こんな暴挙に出たのか。

 「分裂状態となり、敵対組織にあたる六代目山口組への嫌がらせをするためではないか。この日、長野市内では、長野周辺の六代目系三次団体が集まる会合が開かれる予定だった。竹内組はそれに参加する敵対組織を妨害しようとしたわけだ。

 ところが、長野県警も、その情報はキャッチしていた。そこで、岐阜県警にも応援を頼み、多数の人員を配置したんだよ。もちろん、最初から逮捕覚悟だった組員からしてみれば、そんなもんは関係なかったけどな」(元神戸山口組系構成員)

 組員がここまで殺気立っていた背景にあるのは、やはり、昨年8月に起きた山口組分裂。以降、この地では、六代目山口組神戸山口組の熾烈な抗争が続いていたのだ。

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 「最初の事件は、昨年10月のこと。長野県飯田市を拠点としていた六代目山口組系「二代目近藤組」傘下、「二代目掛野組」の組員が温泉施設で射殺された。この組員は掛野組を辞め、神戸山口組傘下である竹内組に移ろうとしていたんだ。その計画が露見し、掛野組に殺られた」(前出の元構成員)

 これを受け、竹内組は激昂。以前は長野県松本市を本拠地としていたが、報復のために南下し、飯田へと進出していったという。

 「掛野組はイケイケの竹内組に押され、飯田を奪われた。勢いづいた竹内組は、昨年暮れ頃、神戸山口組の威光を示すために、組員ら100人が集結して飯田市内を練り歩いていた。

 だが、『報復には報復を』が、ヤクザの掟。この振る舞いを見て、今度は近隣の六代目傘下がいきり立った。飯田で頻繁に姿を見せるようになったんだ。確か今年の始め頃だったと思うが、市内の飲み屋で組員同士がばったり鉢合わせ、いざこざが起きたこともある。今回、封鎖の原因となった27日の集会も、竹内組に対抗するためだった。竹内組を挑発するために、同じように市内を練り歩く計画まであった」

死のカーチェイス

 一連の抗争の火種をキャッチしていた警察は、竹内組を徹底的にマーク。内偵によって高速道路封鎖計画を知り、警官隊を緊急配備した。

 竹内組と警察によって、27日は早朝から、飯田市内は物々しい雰囲気に包まれていた。

 市内の住人が言う。

 「飯田市内にある竹内組の事務所周辺に、多数の警察車両が集まっていました。『西部警察』じゃあるまいし、私たちはこんなにたくさんのパトカーを見たことがない。すると突然、どこからか2台のクルマが飛び出して行ったんです。猛烈な勢いで走り出した竹内組のクルマ(以下、竹内車)を、何台もの警察車両がサイレンを鳴らして追いかけて行きました」

 組事務所から走り出した2台は、追跡する警察を引き連れ、飯田インターへ。高速入り口付近の国道に停車し、敵対組織を待ち構える態勢を取った。飯田は名古屋から長野へ向かう中央道の途中にあり、西側の岐阜方面の六代目系組織がクルマで長野へと向かう場合、必ず飯田インターを通ることになるからだ。

 「午前9時頃、竹内車が陣取ってからまもなく、通せんぼするように警察車両が前に停車。そして周りには、パトカーと覆面が7~8台ずつ配置されていました。しばらくして、パトカーがサイレンを鳴らし始めた。以前、天皇陛下が飯田にいらっしゃったことがあるのですが、それ以上に騒然としていましたね。えらいことでした」(飯田インター付近の住民)

 にらみ合いから約10分後。おそらく、敵対組織のクルマを発見したのだろう。シルバーの竹内車が、猛然と発進。

 慌てて、1台の警察車両が追いかける。もう1台の竹内車も続き、複数台の警察車両を率いてインターチェンジへと入っていった。

 敵のクルマへと迫る、竹内車。互いが威嚇しあうように低速で接近し、その周りを警察車両が取り囲んでついていく……。高速上は緊迫感に包まれた。

 まるで六代目と神戸の膠着状態を表すようでもある、両陣営のにらみ合いの後ろには、多くの一般車が息をひそめるように連なっていたという。

 「一般車も巻き込んだ大事故に発展するかもしれないと、警察は中央道を管理する『中日本高速道路』に連絡。双方のクルマが北上するのに合わせ、まず、午前9時48分頃に飯田インターと松川インター間を17分間。続いて、松川インターと駒ヶ根インター間を9分間、駒ヶ根インターと伊那インター間を17分間、通行止めにしました」(全国紙社会部長野支局記者)

 かくして、抗争は未然に防がれたかに見えた。が、竹内組の妨害計画は、敵対組織を追い回すだけではなかった。

 飯田インターから長野方面へ約50km。伊那インターに、「援軍部隊」を待機させていたのだ。

 前出の中日本関係者が語る。

 「ETCを通過してすぐの場所に、竹内組のクルマが2台、停車していました。攪乱作戦かどうかはわかりませんが、飯田インターから入ったのと同じように、黒塗りとシルバーのスポーツカータイプのコンビだった。3~4人の男がクルマから降りて、周囲を窺っていましたが、明らかに殺気立っていましたね」

次の事件はいつ、どこで

 おそらく、飯田インターから入った2台から、「敵のクルマがまもなく通る!」と連絡が入ったのだろう。午前10時40分頃、待機していた2台が高速へと入り、追い越し車線と走行車線に停車。ここで再度、中央高速を封鎖し、迎撃の構えをとった。

 「ここにも網を張っていたんでしょう。直後、大勢の警官隊が駆けつけ、竹内組の援軍部隊を包囲。乗っていた組員は逮捕され、クルマもレッカーされました。結局、通行止めが完全に解除されたのは、午後2時25分でした。

 しかし、気になる点もあります。レッカーされたのはこの2台、逮捕されたのは4人だけなんです。飯田インターから入ったもう2台の竹内車と、敵対組織のクルマはどうなったのか。騒動に乗じて、逃亡したのか。それほどの大混乱でしたから」(前出の社会部記者)

 事件現場となった伊那地方は、大人気大河ドラマ『真田丸』の中で、武田軍と織田軍が戦った場所。激しい勢力争いがあった戦国時代さながら、六代目山口組神戸山口組による熾烈な抗争が、この地で展開されていたのだ。

 飯田市内でスナックを営む女性が言う。

 「我々のような女の子がいる店だけでなく、飯田市内の飲食店はみんな悲鳴をあげています。お客さんが、暴力団を恐れて寄り付かなくなったんです。夜に大勢で飲みに歩くのはもちろん、昼間でも、ヤクザが商店街を闊歩しているんですから、当たり前ですよね。

 敵対組織との熾烈な抗争を繰り広げる彼らにとっては、警察も怖くないようです。竹内組の組員なんて、パトカーで居眠りをしていた警官を『寝てんじゃねえ! 』と恫喝していたくらいですからね。ここらの地域では、昔は極道が一般人に迷惑をかけることは少なかった。今回の事件はひどすぎます」

 抗争の「最前線」長野で、また想像を絶する事件が起きても、何ら不思議ではない。

  

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